エネルギー新時代

国内重電大手は価格競争力とCO2抑制技術の両立、安定成長の維持を一段と求められている。同部門は上期に過去最高益を達成し、通期でも従来予想から売上高で1100億円、営業利益で150億円引き上げた。原発の代替電源として火力の存在感が増しており、火力発電設備の需要拡大が東芝<6502.T>など国内重電大手の収益を押し上げている。

中国景気の減速に伴う建設機械の不振などで全体の売上高予想は下方修正したが、火力の下支えにより利益予想は据え置いた。だが、財務悪化に苦しむ国内電力会社が競争入札を導入したことで、海外勢も本腰を入れるなど受注競争は激化しつつある。

東芝の久保誠専務は上期決算会見で、火力事業を含む社会インフラ部門の業績上振れ理由をこう説明した。日立製作所<6501.T>も「火力が増えている」(中村豊明副社長)として、電力システム部門の今期売上高を従来予想に対し300億円、営業利益を40億円増額。

「かつてないほど火力で受注残が積み上がっている」。脱原発の流れのなか、中期的に火力依存度が高まるのは必至。